朝、ドーナツをフロントにとりに行く。いつものことだが甘すぎて最近子供達は、あまり食べない。あまりおいしいとすぐなくなって採算とれないのかね。せめて、バターロールにでもしてくれればいいのにさ。
90号にあるサービスエリアのガイドで、バッドランドというのを薦められ寄ってみる。ここらへんは、いかにも西部劇の荒野。ただただ荒れた乾いた軽石のような切り立った岩が延々つらなっている土地。実際、ところどころに西部劇のロケ現場だったと立て札があった。ここで撮った写真が一番みんなに印象強かったもんね。掘り出しものの観光地だったぞ。
このエリアに入る手前に観光センターやガソリンスタンドがあり、
「ここがラストの給油所だぞ、このあと *キロないぞ、いれていけよ」
と添え書きがあり、入れる。ほんとだった。ひとつだけ、インディアン(ネイティブアメリカン)経営のレストランとおみやげやが一軒あるだけ。広くてきれいで安くておいしかったのだが、こういう荒れ果てた土地に追いやられた彼らの立場を思うと、安いだけに気の毒になるのだった。一軒しかない強みで高めに設定したってよさそうなものなのに、コーヒーは60円ぐらいで500円ぐらいのメニューがならんでいる。北海道でアイヌの人のことを思うのと同じで、少数民族の悲しみを感じたな。肥沃な大地は白人が占領し、やせた土地ばかり彼らに与えられた。そのやせた土地がどんなものか、見てしまったわぁ。アメリカって国もワルだよのう。
次に目指したのは、ウォールドラッグという店。300キロも前(隣の州)から、やたら高速道路のわきに看板が立っているのだ。平原のほか見る物がない高速でこの看板ばかり目につく。暇だからついきちんと読んでしまう。
〜氷も水も無料!ホームメイド・ドーナツおいしいよ。Too Good to miss! 博物館無料!アメリカいち大きいドラッグストアだよ。もうすぐだよ〜。
そんな看板を100枚みたら…そこに近付く頃には、自然とそこを目指してしまう。そこはドラッグストアが、観光客を呼び込もうと多角経営している、西部劇の街を模したショッピングモール兼レジャーランドなのだった。他に何もなさそうな土地なのに、ここにはわんさか客がいた。帰国してその話を流通関係の仕事をしている弟に話すと、
「効果的な宣伝やなぁ」
と感動していた。
さー、第二の主要目的地;ラピッドシティだぞ。90号に戻って走る。がんがん太陽が照りつける砂漠を走ったあとだから、当然高速でオーバーヒート。今度はもう高速から出る時間もなく急激にヒートアップ。今まで高速を運転していてこういう車のよこを通り過ぎ、
「あー気の毒ねぇ」
と言ってたらやはり明日はわが身であった。ここでも、親切に止まって声をかけてくれる人がいたが、それはパトカーで来たポリスであった。ほんとは高速に長時間停車するのは、法律違反だからね。
「冷めたら行くんだよ。次の出口を出て左に行くとガソリンスタンドがあるから、見てもらいなさい。」
と大目にみてくれ、親切に道まで教えてくれる。こどもたちは草むらのバッタを捕まえて時間つぶし。
今日は、す、すごく暑い。乾燥した38度って経験したの初めてでしたわ。まさに、皮膚がぱりぱり、じりじりやける。汗がでない。天気予報で、ここらへん一帯熱波がおそっているのを知る。死者もでるような記録的な真夏日だったらしいです。そうよね、こんな北部がこんなに暑いわけないじゃない。
ようやくラピッドシティーに入り、宿探し。どこもいっぱいで、やっとロードウェイ・インというモーテルに入る。80ドル。となりにスーパーがあり、そこで買い出しをしてモーテルのわきの芝生で夕食ピクニック。からあげ、サラダ、パン。
この部屋、エアコンがきかない。何回か電話し、見てもらうがなおらない。熱帯夜を過ごし、翌朝、氷をとりにフロントへいった時、一晩中クーラーがつかなかったと訴える。チェックアウトの時10ドル返金あり。ちょっとほっとする。言ったもんがちなのはモントリオールでさんざん実感したことだぜ。このクーラー、結局、あまりの暑さで効かなかっただけらしかった。