朝6時半に起きてすぐ出る。デビルズタワーへ向かう。未知との遭遇にでてきた、あの平原に突如突き出た岩山ね。ここも8ドル払って入る。まだ朝早いので、車は楽々留められたが、駐車場が少ない。ガイドセンターのそばのベンチで朝食。コーンフレークの甘い匂いのせいか、ハチがたかってくる。はえよりまし?
デビルズタワーは六角錘の岩が連なってできているが、もろそうな山。くだけた岩のがれきがまわりを囲んでいる。で、ここをロッククライミングしている人が何人もいる。何もつかわず、手と足だけで登るのだ。しかも、ここじゃ看板で登り方やコースの説明までしている。これは日本だったら禁止行為だよ。さすが、個人主義の徹底したアメリカだ。
ここで、西海岸からメリーランドへの引っ越し途中の日本人家族に会った。旅行がてら、家財道具を貸し運搬車に積んで、車でひっぱっていく引っ越しの人はよく見るが日本人では初めてだった。彼らの車はたしかベンツだったので、うらやんだ。
「いいよなぁ。快適な旅やろなぁ」
「クーラー効くやろねぇ」
和歌山の人だったが、アメリカにきて1年というわりに、こどもの方言がこてこてで、日本から来たと思った。しかし考えてみると、外国に暮らす子どもは親の方言だけで育てられるから、方言の保存度が高いのだ。私たちは生粋の関西人でないので、逆にうちの子たちの関西弁は抜けたのだった。
90号にもどり、西へ移動。きょうは涼しいので大丈夫かも?ワイオミングを出て、アイダホへ入る。ここらへんはインディアンとの戦争が多かったらしい。今は、農場ばかり。それにしても、どこの農家にも牛がいるが、その数は20頭ぐらいしかみえず、肉牛の産地でもあるらしいのに、こんな少ない数しかいなくて、アメリカはおろか世界に輸出するほどまかなえるんかいな?どこか、高速道路から見えないところに、巨大な農場があるのだろうか?今まで円筒形だった藁の束が、切り餅のような直方体にかわってきた。どっちがどういいのか悪いのか、知りたい。農場はたくさん見たが、農家の人というのはあまりみかけなかった旅行だった。農閑期だったのか?
昼はピクニック、夜はスーパーで買ったサラダ、タコス、ハム、パン。こういうメニューもなれっこになって、あーごはんを食べたい、とか、うどんが、と思わないというのに自ら感動してしまう。彼もそう。子どもは、お菓子やアイスのほうが重大事なのだ。ごはんでなくても大丈夫、というのもこの旅行の必要条件かもしれない。(ご飯党の人はほとんどお釜と米を持参するそうだ)ほんま、選ぶ余地のない食生活だ。こんな単調な食生活に耐えられてこその西部開拓なのだ。モントリオールのエスニック、ヨーロピアンな食生活がいかに豊かだったかを実感。
Sherdanを過ぎ、Billingsへ。CAAのマップではSherdanからイエローストーンへ向けて山道に入っていくことになっているのだが、車の調子を考えると、これを避けて90号をそのまま北へ回り込み、最も近い町からイエローストーンへ挑んだ方が良さそうであった。67ドルのベストウエスタン・ビリングスに泊まる。もうここらへんになると、どういうホテルだったかも覚えていない。書けない。
今晩はりえとゆかに作文を書かせる。デビルスタワーの伝説ー熊におそわれたインディアンの娘を助けるために岩がせりあがり、熊の爪痕が岩肌に残ったという話が心に残ったらしい。