1998年7月23日

7月23日 イエローストーン 〜アメリカの登別に価値はあるか?〜

 イエローストーンはアメリカで最初にできた国立公園ということだが、ここは、日本からくるにはちょっと遠いし、わざわざ来るほどのすごいところでもなさそう。だから、今回を逃したら、チャンスはないぞ。しかし、この車で山の中を走り回ることはできない。そこで、レンタカー案が出た。90号でリビングストンという町に行き、レンタカーを探す。しかし、ここは基点となる町の一つではあるものの、大きな町ではないので、AVIS、Budget、Hertzなどのレンタカー会社のようなものはない。
 普通の車屋にいき、代車をレンタルしたらどうか?と観光所の人がアドバイスしてくれた。近くのフォードをあたると、1日200マイルまでは37ドルという車があった。家族中、ルンルン。おー、冷房が効く、きれい、かっこいい。オーバーヒートしない!

Yellowstone  最初の予定では、3日間かけてイエロストーンをまわる予定だったが、今までのトラブルで結局きょう1日しか費やせない。しかし、まわれるぞ。20ドルの入園料(3日間有効)はもったいなかったが、しょうがない。案内所で、

「1日しかないんだけど、どこを薦める?」

と聞いて、おじさん、これだから日本人は困る、といったふうに困惑しながらも、じゃ、Old Faithful に行けば?と教えてくれた。このエリアは、温泉めぐりなのだ。エメラルド、オレンジ、イエローに光るぶくぶくした温泉のわき出てるところを、硫黄のにおいを嗅ぎながら見て回る。

 ここはアメリカの登別。はっきり言おう。ここは日本人に価値がない。ここの温泉は、人が浸かれないという点で日本の温泉に劣る。温泉は首まで浸かってこそ価値があるのだ。アメリカ人は嬉々としてビデオを撮っていた。あんたら、日本に行き。
Yellowstone Canyon  温泉はそういうわけだが、ここは、イエローストーン渓谷、野生動物ウオッチングなど、大自然もたっぷりあるので、かっこいい車でびゅんびゅん駆け足で見てまわった。結局、全エリア走破したのだ。途中から雨が降り出したので残念だったが、こんな日はムースがみられるのではないかと期待もできた。ここは、野生動物のいるところが広大な川を含んだ平原になっていて、ものすごく展望がきく。この地形はポイント高いぞ。少し高くなった道路から四方に双眼鏡を向ければ、緑の草原に茶色の物体は容易に発見できるのだ。バイソンは多い。エルクも多い。エルクは狼の絶滅で異常繁殖して困ってるらしいけど..。
 しかし、ムースはいなかった。我が家の2年間の悲願は、野生のムース見ることだったが、結局実現しなかったのだ。

 ここも、要所要所のおみやげもの屋は充実している。アウトドアが中心なのだろう、食材もキャンプ用品も充実。コンビニで生鮮も買える。確かにこういうところでは、キャンプしないと醍醐味がないな。ガスペでもそう思ったが、キャンプ用品に投資するほどの金の余裕も気持ちの余裕も、私たちになかったことは残念だ。余談だが、モントリオールの知り合いの家族が、キャンピングカーを借りてみたくて、それをやった。どこそこでキャンプしたいから借りる、のではなく、キャンピングカーを借りてみたいから、借りて無理矢理キャンプしたという笑える話。

「どうだった?」
「高いカネ払って、不便を買うって感じね。」

名言だと思うのだけど。
 ちなみに、自称<本物のナチュラリストカナディアン>に言わせると、

「キャンピングカーは動くホテルだよ。あんなのでキャンプしたといってもらっちゃ困る」

らしい。しかし、今時、テントでキャンプするカナダ人は少数派だ。熊が出る、狼が出るところなんだもん。私もできれば、キャンピングカーでお願いしたい。ヤワすぎる?
 余談はこれで終わり、旅の続きを。

 夜7時半まで山の中をドライブしてから、帰路についた。朝行くときに借りておいたモーテルへ戻る前に、スーパーで買い出し。今日は、りっぱなキッチンが付いたところなので、買い物もうきうき。初めての焼き肉をしようと牛肉を買う。ソーセージも焼こう、じゃがいもをふかそう。そしてなんとこのスーパーには、あのマルちゃんらーめんがあったのだ(買った)。そして、お米もみつけた(買わなかった)。この内陸部で、日本食品をみるのは珍しい。もしかしたらここらへん、日本企業の工場でもあるのかなぁ?リビングストンというところ。知ってる?
 このモーテルが良かった。古いが広い。日本で言えば、2DKというところ。調度品はどれも、20年前ならハイカラだったろうというようなもので、たたずまいもヒッチコックの映画をみてるような感じ。安っぽい看板に味があった。名前も DelMer Motel。これぞ、古き良きアメリカンスタイルと言えよう。クーラーはあまりきかなかったし、じゅうたんもちょっと..、だったがレトロな味に免じて許す。


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