バンクーバーへ。幹線道路沿いのアウトレットを見つけたが、開館まで待つほど買いたい物も金もなし、ということで、さっさと国境へ向かう。予想に反してあっという間に通過。ナイアガラ経由でアメリカに入った時に、それほど混んでるわけでもないのに、お役所仕事のらりくらりで時間とらされた思い出があるので、今回も時間かかるかも?と思っていたのだ。待ってる車もない。やはり、早朝行動をしないカナダ人だ。(アメリカの観光客は朝が早い)
通る時に、後ろに乗ってる子供達を見て、
「あなたがたのこどもか?」
と聞かれたのが印象的。決まった質問事項なんだろうけど..。
バンクーバーも暑い。まず、買い物へ。なにしろ車にエアコンがないので涼みたい気持ちから、
「モール行こう」
となる。カナダに限ったことなのかどうか知らないが、地図をみると、ショッピングモールはピンク色で示されているので、初めての土地でも簡単にモールへ行ける。おみやげ類は、最終地バンクーバーで買おうと決めてあったのだ。唯香は腕時計(他にかわいいデザインがいっぱいあったのに、カミラと同じのがいいと青いシンプルなFlik Flap を選んだ)。しんごのリュックサック、私はヘンケルのナイフ。家族、友人のおみやげにヘンケルのピーラー。ちょうどイートンのセールをやってたので、ヘンケル製品は安く買えた。あとで同じものを観光客相手の店で60ドルも高い値段で売ってたのを見てうれしかったわ。
買い物の後ダウンタウンへ行き、ホリデイ・インの駐車場に留めて(ここが意外に安いし、屋内なのでいいよ)街歩きへ。
バンクーバーは、初めてだが、メアリーが(バンクーバー出身)たくさんの観光資料を集めてくれたので、楽しそうだと期待していた。ここで1週間滞在してもおもしろいかも?と思っていた。しかし、私たちは疲れが随分たまっているようだった。精力的に観光しようと思えない。子供たちは、何かを食べる時と何かを買ってもらう時以外は、だれーっとしてることが多くなっている。
「次どこいくのぉ?」
とめんどうくさそうに聞いてくるし、博物館、美術館関係は、聞けば最初から、
「いやだぁ」
と拒否する。実は私たちも、丹念に博物館を見て回る気力はなかった。
「バンクーバーの街ってくさいなぁ。」
「モールは大きいけど、品揃えは、やっぱりアメリカだよね。」
「日本人多いなぁ。」(文句が多いっつーの)
やたら、日本語が耳に入ってくる。(母国語のキャッチ力ってすごい。)あのインターナショナルな光景<有名観光地で若い日本の子が大きな紙袋たくさん抱えて買い物している>がどこでも見られる。
「私、お金残してももったいないからみんな遣っちゃう!」
と叫んでるのも聞こえた。おい、おい。日本は不景気だ、不況だというが、嘘だ。
夫は、車の処分のことで気をもんでいた。バンクーバーで車を売ろうと考えていたが、ここまで古くて壊れてる車が売れるとは思えない。いざとなったら、乗り捨てていこうかと、
「ここらへんの空き地なんかどうやろう」
と物色したりしていたのだ。実際そういうところには、放置車があった。
「飛ぶ鳥、あとをにごしたくないなぁ。やっぱり、引き取ってくれるところをあたっていくしかないか」
観光もそこそこに、ダウンタウンのはずれにある、車の工場に飛び込んでみる。なんと、そこの下取り責任者(ヒューイさんという中国系アメリカ人)が、昔トヨタの工場にいたとかで、
「トヨタのエンジンはすばらしいからね。きっと社長も買うと言うでしょう。もし買わないと言ったら、免許取りたての息子のために私が買うよ。」
と言ってくれたのだった。ついた値は500カナダドル。こんな、ラジエーターに穴があいて、エアコン抜いてだましだまし走らせてる車だというのに。引き渡しは2日後。
「それまで、エンジン傷めたらダメあるよ。水6本じゃだめ、10本持つべきね。」
といわれながら、ほくほく、朝予約しておいたモーテルへもどる。5万円の臨時収入に喜ぶ夫婦。こどもも
「好きなもん買ってやるぞ」
のお言葉に、ハッピー、ハッピー。これが水泡に帰することになろうとは。
夜は近くのクラブプライス(北アメリカでチェーン展開する卸商的な巨大スーパー)へ行って、今までの写真現像を依頼し、そこでホットドッグとピザを買って来て夕食。しかし、クラブプライスというのはどこへいっても同じ構造、品揃えですな。懐かしささえ覚えた。そこで、家族へのおみやげにカナダの風景カレンダーを買ったら、そこの店員さん、
「あーこれきれいねぇ」
ってレジうちながら言うの。
「カナダ人てほんまに、あーいうの(カナダの大自然)好きやねぇ」
とあらためて思った。モントリオールにいた時、アリスンという人に、
「あなたはどこの国に行ってみたい?」と聞いたら
「私はどこにも行きたくないわ。カナダには訪れる場所がいっぱいあるから、ほかの国には興味ないわ」
と言われたのを思い出す。もちろん彼女の言いぐさはけっこうまわりを、あきれさせてたけど。でも、十分にいろんなところで
「カナダ人はカナダが好きねぇ」
というのは感じたもんね。
401モーテル(95カナダドル)はアラビア系の経営者。強面で不愛想で、けち。(プール用のバスタオルを最初貸さないといい、しぶしぶ3枚だけ貸してくれた。そんなもん、どこでも人数分くれるわい)ここのモーテルはバンクーバーでは、一番安いランクなのだ。ちょっと裸足で歩きたくない絨毯だったが、プールが目の前にあって、子どもは大喜び。このころになると、3人とも随分達者に泳ぐようになって、浮輪なしできゃーきゃーもぐってあそんでいる。