あとがき

[あとがき]

 アメリカ横断してよかったと思うこと。それは、もちろん、ミーハー気分で

「イエーイ、アメリカを横断しちゃったぜーぃ」

というのもあるんだが、もう一つ大きいのが、これ。モントリオールから直接日本へ帰国した場合に生じる、<喪失感のようなもの>を持たずにすんだ、ということだ。
 今までの生活を、ある日突然断ち切って、新しい生活へ移るのは親の私でさえつらい。子供達にはなおさらだ。2年前、日本への未練で夜に泣いた次女のことは今思ってもかわいそうになる。
 旅行に出て、時間をかけて移動しながら、新しい生活へ移行したことは予想以上に効果的だった。特に、友だちとの別れの寂しさは、この旅で随分やわらいだ。2週間の猶予期間だったと思う。

 そして、無事に帰国し、新しい生活は予想をはるかに上回って順調。今、これを書いているのは、年も明け、1999年1月。私と同様に強くなった子供達は、入ったその日から学校になじみ、のびのびやっている。先月帰国したばかりの夫は、モントリオールで培った、<何でも自分でやれる>能力を武器に、日本の官僚主義にぶつぶつ言いながらも、新しい仕事にはりきっている。(彼は、とある公立の新設研究所スタッフ)

 もうあの旅行が、家族で行く最後の外国、最後の機会だっただろう。いろいろあったけど、終わりよければ全てよし。よかった、よかった。ここまで読んでくれた皆様本当にありがとうございました。アメリカ横断してみたい?


【Back】 【岡沢家のホームページ】