あめりか横断記

あめりか横断記

〜オカザワ家とオンボロ車のチープトリップ〜

[前書き]

なぜ、アメリカ横断をすることになったのか。

 答えは明快だ。したかったから。それができる条件がそろっていたから。
 そんなもん、できればしたいにきまってるじゃん!と思うのだが、意外に、

「考えただけでしんどいからしたくない。」

という人もいたのである。それは、あとでわかるが、確かにあとになって、それもまた真実であることがわかるのだ。しんどかったわ。まぁ、まだ若かったし、好奇心旺盛な36歳なのだよ。若いか?

〜それができる条件とは?〜

地理的条件;

 モントリオールは東の端。日本へ帰るのは大陸横断して、太平洋をわたる。ふつうなら、飛行機のところを車でいこう!とは無理がない。ちなみに、夏休みに入ってすぐ、東の果てガスぺ半島とプリンスエドワード島(P.E.I.)は、4000キロで走破してある。

物的条件;

 これが一番大きいが、うちの車がボロだったから。レンタカーで旅行となると、高いし、第一現地に戻って返さねばならない。ちなみにモントリオールーバンクーバー間の乗り捨てはできなかった。

 普通は帰国前に車を売って帰る。160万で新車を買って120万で売るとか。なにしろモントリオールは中古車が信じられないほど高い。どんなボロだって、15万や20万で売れるのだ。日本に居る人には想像を絶するボロでも。
 うちの車はトヨタカムリ。すでに10万キロのっている。サビサビで、何回も修理にだしてはだましだましつかっていた。これならバンクーバーで乗り捨てできる。5万で引き取ってくれるんじゃないか?と人にもいわれたし。

 ここで15万で売れるとして(事実3人から買いたいといわれたのだから)向こうで5万で売れれば、その差額10万で、大陸横断の足になるわけ。2年間、車に関しては、後悔し続けた夫だが、そのボロさのおかげで今回の大旅行となったのだから、ボロボロさまさまだよ。

人的条件;

 旅行のメンツは私達夫婦と子ども3人。旅行期間は、2週間。車に長時間のっていることができない人にはできないと思う。ポイント、ポイントでそれなりに観光するためには、ほとんど車中なのだ。車酔いする子どもや、車中精神不安を起こす子ならできない。乳飲み子がいても、断念するだろう。うちは、8歳、7歳、5歳の我慢強い(5歳はそうでもないが)こどもだった。ラッキー。

暇と金;

 これに尽きるともいうが、子どもは夏休み、私はのんきな専業主婦、夫は「仕事さえすればいくら休暇をとってもかまわない」と豪語するクロアチア人のボス(実際、自分も1カ月の休みなんか平気でとる)のもと、昇給の約束さえとりつけてきたのだから、これまたラッキーである。

 予算は、1日あたりホテル代で1万円、食費で5千円ぐらいか?日本では考えられない低予算。カナダ国内ならホテル代はもっと安い(7千円ぐらいで十分泊まれる)しかし、アメリカだったから、それなりのところに泊まらないとコワイというのがあるし、暑い車で朝から夕方まで耐えてきた子どもには、やっぱりプールつきのモーテルが一番のご褒美なのよ。子どもとの旅行なんてこれが最後だろう、という感傷も手伝ってほとんど毎日プールつきだったのだ。

ルート;どこをどう通って横断するか?

 最初の予定では、カナダを横断する予定だった。トランスカナダという国道があって、これを使って横断できる。知人から、お父さんから譲ってもらった車をバンクーバーからモントリオールまで輸送した話を聞いて、じゃぁ、このルートで、ということにしたのだが、これが、はっきり言って見所がない。カナダの南端を走っているのだが、観光地がない。

「別にいいじゃん、ただただ大地を感じるのもおもしろいじゃない。」

と言ったのだが、途中に3日間ぶっつづけで走らねば次の町にたどりつけないとかいうような日程しかできないことがわかった。何かあったときに、対処できるような集落がなければこわい。わたしらは、ワンダーフォーゲル部員ではない。

CAA map  で、少し位置をずらして、アメリカの北部を走ることにしたら、夫はがぜん積極的になった。

「おい、見所いっぱいあるぜ!」

彼の大大好きなブルズの本拠地シカゴ、大統領の顔の彫刻された山、未知との遭遇に出てきた平原に突如突き出している岩山、アメリカ最初の国立公園(イエローストーン)などなど。

 これで決まりじゃ、とCAA(カナダのJAFのようなもの)にルートマップを作ってもらった。これが無料でね、1冊の本で横断のルートを示す詳細な地図なんだけど、実に便利。各地の観光案内や宿泊所リストもたくさんもらって、CAA割引もいろんなところで有効でした。アメリカの場合はAAAというのだけど、同様に有効なのだ。車の免許もカナダのままでいけるし、あの二つの国は明確に分かれてるようで、必要なところではボーダレスで合理的だわ。

長い前置きはこれくらいにして、はじめるぞ!ここからは日記をたよりに。


【7月14日晴れ〜さいさきの悪い渋滞】
【7月15日アメリカに入った】
【7月16日シカゴ〜再訪したい街】
【7月17日トマー(ウィスコンシン)からロチェスター(ミネソタ)〜走れカムリ!】
【7月18日ミッチェル(サウスダコタ)〜大草原のオーバーヒート】
【7月19日 Badsland - RapidCity 〜こんなところに追いやるな。】
【7月20日ラピッドシティ二日目〜大統領の顔拝み】
【7月21日ラピッドシティ3日目〜ロバににんじんやりながら考える】
【7月22日デビルズタワーは熊の爪痕】
【7月23日イエローストーン〜アメリカの登別に価値はあるか?】
【7月24-26日 移動日Spoken〜シアトル】
【7月27日バンクーバー〜車が売れた!】
【7月28日バンクバー〜まさかの衝突事故発生!】
【7月29日バンクーバー〜気をとりなおして】
【あとがき】